緑の食事風景
1人、家に残された私は、リビングルームの隅で
ひたすらじっとして過ごした。


何もしなかった。というか、出来なかった。


もし母がいない間に何かあると

……例えば

私が怪我をしたり
食器を割ったり

泥棒に入られたりすると

全て私のせいになるような気がしたからだ。


幼い私に

「ネグレクト」

「親の監督不行き届き」

などという概念は
勿論無い。


何かあったら私が叱られる

だって家には私1人しかいないんだから、誰のせいにもならないもの。

と、可哀想な私は
すっかりそう思い込んでしまい

無闇に動き回らず
お腹が空いても寂しくても我慢して

黙って母の帰りを待っていたのだった。


私のそんな様子を、母は

「神様のおかげ」

とか

「神様を信仰しているおかげ」

と解釈しているらしかった。
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