緑の食事風景
何せ10年振りの再会である。


どんな顔で会えば良いのだろう。

会ったら何を話せば良いのだろう。


「お母さん」と、自然に呼べるだろうか。

幼い私を家に置き去りにし、宗教なんかにのめり込んでろくに我が子と向き合いもしなかった、母を。


憎悪が一瞬、鎌首をもたげたが、花まで用意してここまで来たのだ。会わないわけにもいかない。


憎しみを押さえ込み
2度、ドアをノックした。


中から「どうぞ」と言う

昔と変わらぬ母の声が聞こえた。
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