絶対裏校則
特別室の前に着いた俺は深呼吸をし、ドアを二回ノックした。

「はい」

中からは涼子ではなく、麗華の声がした。
「俺だ」

一言そう言い、麗華の「入りなさい」という言葉で中に入った。

中は静かで、まるで俺が来るのを始めから知っていたかの様に麗華と涼子はドアの前で立っていた。

「来ると思っていたわ」

麗華は腕を組みながら偉そうに言う。
隣に居る涼子は機嫌がいいのか、ニコニコしていた。
俺は何も言わず、麗華の次の言葉を待った。

「ここに来たって事は覚悟を決めたって事よね?あなたも要約あたし達の言っている事が分かってきたみたいね。でもね、さっきも言ったように、もう遅いわ。あの子を助けなかった事は確かに偉いわ。けどここで許してしまうとまた校則を破りかねないから許す訳にはいかないわ。だから、あなたには少々手荒な事をしないといけないみたいね」

クスクスッと笑う麗華が恐ろしく思えた。
手荒な事…何を考えているんだ?翼に害がなければいいのだが…それより今、翼は無事なのだろうか?あの唸り声は確かに翼だった。そうと分かっておきながらも俺はあいつを見捨てた…あいつの今の状況が知りたい。お願いだ…どうか無事でいてくれ…―――――

心の中でそう唱えていると、何かを悟った麗華は“フッ”と馬鹿にした様に笑い、「能天気なお人ね」と俺の顔を見ながら言う。
それに俺は“イラッ”ときて麗華を睨みつけた。

「フフッ。あの子の事を考えていたんでしょ?大丈夫よ。他の子があの子に手を出す事はもう出来ないから。安心しなさい」

その言葉を聞き、俺は少しほっとした。
しかし、この時重大な事を聞き逃していた事に俺は全く気付かなかった…
そしてそれが原因で翼を苦しめる事になるとは――――――
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