赤い林檎





「…お、噂をすれば、だね。」

「…?」


少し涼と笑い合っていると、時雨と郁真が近づいてきた。

大和も近づいてこようとしていたが、怖いオーラを放つ李雨にがっちり捕まえられていて動けないでいた。


「ねー、瑠色~。」

「……………なに。」


がばっと横から抱き締めてきた郁真をぐいぐい押し返しながら冷たく返す。



「さっき守谷と潤さんが一緒にいたんだけど、なんでか知ってる~?」

「………潤、“さん”?」


時雨が潤々をさん付けしたことに驚き、思わず聞き返す。


──そういえばさっき、涼も“さん”付けしてた…?


そんな瑠色の様子に、さっき四神を知らないと言ったときと同じくらいに、驚いた顔をした涼が瑠色の瞳に映った。


「え…瑠色、それも知らないとか言う?」

「…え、なにが?」

「潤さんのことじゃん!」

「だから、なんで“さん”付け?」


もう一度聞き直すと、涼は盛大に溜め息をついた。


……うん、もう呆れられるの慣れたよ。

だって今日何度目って話だもん…。

      ・・
「潤さんってあの『神牙(シンガ)』の元八代目特攻隊隊長だったんだよ?」

「……………特攻隊、たい、ちょう?」


……え、は?

潤々が、『特攻隊隊長』…って、えぇ!?

しかも『あの』ってなに!

なんでその族名強調したのさ!


いきなり突き付けられた真実に、戸惑いを隠しきれない。


「………え、なに。まじに知らなかったのか?」

「……」


時雨の問いかけにコクリと頷く。





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