魁桜


「行こうか」



差し出された手を握って頷いた。

―――いつか稚里が言ってたな…。

“琴音や施設のみんなは眩しい”…って。

あの時のあたしはよく理解出来てなかったけど、今なら分かる。

今、あたしにとって眩しいのは稚里やみんな。

キラキラ輝いてて、あたしの手の届かないところにいつもいる。



「琴音」

「わっ…!?」



ぐいっと思い切り腕を引かれて、危うく転けそうになった。



「俺たちはコッチ」

「あ、うん…!あれ?でもバイクは?」

「下の奴らに任せた」



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