君がいるだけで…[番外編短編集]
『紗羅先輩、何がいいですか?』

「そうだなー…、
あ、じゃあチョコバナナがいいな!」

『了解です!』


『美月先輩は何がいいっすか?』

「そうね、じゃあ私はりんご飴で」

『りんご飴っすか!』


そうして私はチョコバナナ、
美月はりんご飴を奢ってもらった。


そんな私たちの隣で、
朔也はつまらなそうにしていた。


だから私は、


「朔也、半分個!
チョコバナナ、好きでしょ?」


朔也が密かに好きなチョコバナナを、
朔也の方へ差し出した。


「朔也くん、りんご飴も、食べる?」


美月も私と一緒で、
自分のりんご飴を朔也に差し出した。


『さんきゅ。』

いつものクールさをなくして、
笑みを浮かべながら私たちが差し出した物を一口ずつ食べた朔也。


『あ、先輩狡いっすよ!』


2人からの指摘にも、
意地悪そうに答えていた。


『うっせ。紗羅と美月はお前らと違って
優しいからな。』


今年のお祭りは、
いつになく騒がしくて、賑やかで、

楽しかった。


来年からのお祭りも、とても楽しみになった。


《君と過ごした夏。紗羅side。end》


< 117 / 219 >

この作品をシェア

pagetop