佳き日に



「いいかもな、プラネタリウム。」

鉛丹がそう言えば、桔梗はほっとした様子になる。
行ってみたかったのだろう、プラネタリウムに。
桔梗が少し楽しみな様子なんて珍しい。

郡山で降りてもいいか、と思える。

「そういえばさっきに話の続きなんですけど」

「何の話だよ。」

「赤い女のです。」

あぁ、と鉛丹は現実に戻された気がした。


そうだ、これから、雨さんが殺された土地に行くんだ、と。
東北で最も気をつけなければいけないのは、赤い女だ。

「椿さんから聞いた話では、赤い女は黒い髪に赤いリボンを結びつけていて、赤いドレスを着ているらしいです。もちろん靴も赤で、自分で歩いて僕たちのような人を探すんです。」

「顔は分からないのか?」

「顔を見た僕たちのような人は、全員殺されてますから無理ですね。」

なんだ、と鉛丹は少し肩を落とす。

でも、まぁ、当たり前か、とも思う。
メモリーズの奴らは赤い女には絶対関わり合いたくないはずだ。
メモリーズだとバレれば一発で殺されるのだから、情報が少ないのも無理はない。

そこで、ふと鉛丹は気になっていたことを桔梗に聞いてみる。

「なんで赤い女はそんな目立つ格好をしてたんだ?」

「的になるためじゃないですか?」

「的?」

「赤い女はいくら強いといっても人間なので、僕らのような人は大部分が皆、同じことを考えていたはずです。自分なら赤い女に勝てる。人間如きに、負けるはずがない、って。」

「確かに、普通に考えたら俺らが負けるはずないもんな。」

桔梗と鉛丹もそうだが、メモリーズは存在しない人達として扱われているので、普通の仕事に就くことはできない。
それでも生きていくためには働いてお金を稼がなければならない。
そうなると、就ける仕事は限られてくる。

メモリーズのほとんどは、危ない仕事をしている。
麻薬の密売、人殺し。
色々とあるが、生まれつきの身体能力の高さを生かして大半のメモリーズは殺し屋になる。

そうやって生きてきたメモリーズは数多の死地をくぐり抜けてきた。


もちろん、戦いに関してもとても強い。


だから、メモリーズが人間と戦って負けるなど、普通は考えられない。


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