佳き日に
「おい、柳琥珀が来たぞ。」
「まさか。今六時ですよ。早すぎでしょう。」
いい加減なこと言わないでください、と桔梗は鉛丹の方を見ることなく切り捨てた。
「いや本当だって。」
まだ朝の六時だというのにいるわけないだろう。
どれだけ健康的な生活をおくる女子高生なのだ六時登校とは。
健康的というか、せっかちなだけという気もするが。
トントンと肩を叩き続ける鉛丹に根負けして桔梗は窓の外を見る。
「……。」
「な、いただろ?」
「なんか、余計な人たちまでいる気がするんですが。」
「つーか全員総出だぜ。何があったんだろーな。」
ふんと鼻を鳴らし口角を上げた鉛丹。
桔梗の目に映ったのは、目的の柳琥珀と、それから雪と閏と琴だった。
柳琥珀一人だと思っていたのにまさか雪たちまでいるとは。
全然嬉しくないサプライズだ。
少々桔梗は口に手を当て考える。
そして、運転席で髪をいじっている菘に声をかけた。