佳き日に
「二つあるから、一つは雪にあげて。」
この花束を、琥珀はどういう意味で閏たちに渡しているのだろうか。
分からないまま、閏は曖昧に微笑む。
「ありがとうございます。」
琥珀も微笑みを返してきた。
同時にひゅうっと冷たい風が吹く。
肌を刺すような冷たさ。
閏は思わずめをつぶった。
「ゴミ入った。」
そう言ってごしごしと目をこする琥珀。
「コンタクト外してくるね。」
琥珀は走って家の中に戻っていった。
残された閏はじっと手元の花を見つめる。
淡いピンク色。
目に優しい色だ。
もしかしたら。
甘い匂いを嗅ぎながら閏は思う。
もしかしたら、この花束は別れの言葉の代わりなのかもしれない、と。