夏芽の第2ボタン。


「俺、じゃだめ?」
「え?」


「第2ボタンの代わりに、俺」


いつだって
夏芽はあたしを喜ばせる

止まったはずの涙が
次から次へと溢れてくる
手で拭っても追い付かなくて
せっかくの化粧が台無しだよ


「俺は、
未桜のものになりたい」


馬鹿

夏芽の馬鹿

大好きだよ、馬鹿


「…っく、夏芽ぇ…
ずっとずっと、
好きだったんだよぉっ…」

「俺も大好き……未桜…」



廊下のど真ん中で
あたしたちは
2度目のキスをした


夏芽の腕の中で
温かい涙の味と
ミルクティーの味が混ざって


高校3年間の中で
あたしは1番幸せだった


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