男子校のお姫様

やっとのことで調伏を終えたのは午前3時30分ごろだった。

「今日は学校きついかもね」

「でも3人して休んだら怪しいし、佳音は休んで。俺と慧は授業出るから」

「そうだよ。ゆっくり休んで」

「大丈夫。2人が行くならあたしも行くよ」

あたしは2人の気遣いに感謝しながらもそう言うと、寮の方に身体を向けた。

そこで、あるものが目に入った。

動きが固まったあたしに気づいた2人もあたしの視線をたどった後、目を見開いた。

「・・・みんな・・・」

「いつから・・・」

「見られたかもな」

あたし、慧、琉生兄の順で口々にそう呟いた。

「さっきのって・・・」

祥が言いたいことを瞬時に理解したあたし達は、みんなの脇をすり抜けると寮に向かって全力で走った。

だけど、あたしの足の速さだと、足の速い皆にはすぐに追い付かれてしまう。

だから、あたしは術であたし達の背中だけを押す追い風を作った。

その後は寮に着くなり、階段を駆け上がって部屋に飛び込んだ。

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