男子校のお姫様
「っ・・・女の子相手に3対1なんて卑怯だと思わないの?」
あたしは既に息が上がった状態。
だけど、あたしの周りに散っている3人は全く息を切らしていない。
さすがに1人で一気に3人の相手なんてきつい・・・。
「我、陰陽を操るもの。この呼びかけに応え、雷を落とせ。雷竜!」
あたしがそう叫び、中指と人差し指ではさんだ符を空に向かって伸ばす。
すると、1本の稲妻が落ちてくる。
「禁!」
あたしは素早く自分の周りに結界を張ると衝撃を防ぐ。
勢いよく落ちて来た雷は3人に直撃した・・・はずだった。
だけど、3人もあたし同様、結界を張ってそれを防いだようで、余裕の笑みを浮かべている。
「く・・・」
「これほどまでに強大な力を・・・。ますますお前が欲しくなった」
「そんなこと言われてもあたしはあなた達にはついていかない」
あたしはそういうと、再び術を繰り出そうとした。
けれど、雷竜を呼び出したおかげで一気に霊力を消費してしまったあたしは、その場に崩れ落ちそうになってしまう。
「っ・・・」
そんなあたしを見た仮面男はふっと笑うと、会長達に目配せをする。
「今日はどうしてもついてくる気がないようだし、またの機会にしよう。今日はひとまず撤退だ」
そういうと、スッと3人は消え去った。
それを合図にその場に膝をついたあたしは、力を振り絞って立ち上がると、旅館に向かって歩き出す。
一刻も早く帰って光くんを安心させるため、あたしはゆっくりだけどしっかり地面を踏みしめ旅館へと急いだ。