イジワル社長と秘密の結婚
そんなナオに比べて、身長は同じくらいだけど、ルックスは地味めだ。良くも悪くも、印象に残らない感じだと思う。

「ねえ、ナオ。人の好みって分からないよね」

「え?どうしたのよ急に」

隣のデスクのナオは、パソコンの電源をつけなから、私に怪訝そうな顔を向けた。

「ちょっとね。私って、可愛いって言える顔立ちじゃないなって思って」

それなのに、蒼真さんは『顔がタイプ』なんだなと、不思議に思う。

「なんのこと? あ、もしかして、誰かに可愛いって言われて、信じられないみたいな?」

勘の鋭いナオの指摘に、私は慌てて否定した。図星すぎて、驚いた。

「違う、違う。ただ単に、顔がタイプって言われただけ」

と言って、思わず両手で口を覆った。なに言ってるんだろう。そんな私に、ナオは含み笑いをしている。

「へえ、誰かに言われたんだ? 良かったじゃない。誰に言われたの?」




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