イジワル社長と秘密の結婚
「いいじゃん。夫婦なんだから」

「だから、それは父たちが勝手に決めたことですから」

言っている間にも、蒼真さんはさらに近づいてくる。このままじゃ、壁際に追い込まれて逃げようがない。

「そうだけど、まさか本気で離婚できると思ってる?」

「思ってますよ。だいたい昨夜は、蒼真さんも離婚で方向性が一致したじゃないですか」

「あれは、ああでもしないと、きみが騒ぐと思ったから。最初から、諦めてるよ」

平然とした言い方に、耳を疑いたくなる。なんで、諦めるの? 相手が会長だから?

「簡単に引き下がるなんて、社長らしくないんじゃないですか?」

「俺らしく? やけに分かったような言い方をするじゃないか」

そう言って、蒼真さんは無理やり私にキスをした。舌を絡めるようなキスに、彼の体を押し返す。

「イヤです。やめてください!」

だけど、蒼真さんは顔色ひとつ変えず、さらに深いキスをしてきたのだった。

「そ、蒼真さん……。こんなの変……」

唇が重なり合ながら、ゆっくりと私は、その場へ倒された。




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