イジワル社長と秘密の結婚
「私も、一人の時間って、こんなに味気なかったっけと思いました」

何度、私からLINEを送ろうとしたか。そんなことを考えていたら、蒼真さんが起き上がった。

「蒼真さん?」

どうしたんだろうと、不思議に思いながら私も起きる。

彼はベッドの下に落ちていた服を着ると、私にも服を手渡した。

「咲希に渡したいものがあるんだ」

「なんですか?」

このタイミングで渡したいものって、なんだろう。ベッドを下りた蒼真さんは、書斎から小さな紙袋を持ってきた。

それは海外の高級ブランドのもので、ジュエリーだとすぐに分かった。

「も、もしかして、香港のお土産ですか?」

「お土産といえば、そうかもしれないけどな。でも、もっと大切なもの。出張から帰ったら、咲希に贈るつもりで買ってきた」

「大切なもの?」

なんだろう。ちょっと緊張する。黙って様子を見ていると、蒼真さんが袋から中身を取り出した。
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