イジワル社長と秘密の結婚
「お待たせして申し訳ありません、社長」


部長と課長の後に続いて、私とナオがが入る。蒼真さんがすでに来ていたことに、部長と課長は恐縮しきっていた。

「いや、俺が早く来ただけだから」

業務中の蒼真さんは、近寄りがたいほど素っ気ない。それでも私には、甘い彼の素顔を知っているからか、思わず頬が緩みそうになった。

「じゃあ、ミーティングを始めようか?」

蒼真さんの言葉に、自然と皆着席する。私の隣に課長が座り、緊張感を覚えた。

昨夜のキスのことを、話すことなんてできるわけがなく、課長も私も普段どおりに接している。

告白の返事、課長のなかでは、保留で受け止められているのだろうか。逃げるように帰ってしまったから、不安ではある。

私としては、完全にお断りをしたいんだけどな……。




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