狼ゴコロは愛のイロ


「するもんか!玖美がいやって言ったって、一瞬だって離さない」




優しく抱き締めてくれる雅の背中に腕を回す。




「雅は、いつだってあたしを守ってくれるヒーローだもんね。頼りにしてます」




出会ったときからあなたはヒーロー。


あたしを助けてくれた王子様。


周りの声には惑わされない。


だって、雅のことを一番理解しているのはあたしだもの。


誰が何と言おうと、あたし達はベストカップルなんだから。




彼の肩に頬を擦り寄せると、ふと彼は言う。



「俺がヒーローかぁ」


「そうだよ。ヒーローで王子様なの」


「じゃぁ明日も玖美を守れるようにエネルギーチャージをさせて?」




そう言うと、あたしに覆いかぶさる雅。




エネルギーチャージって・・・。



言葉の意味がわかると、顔が赤くなるのを感じる。



雅の瞳は限りなく甘くて、見つめられるだけで、溶けちゃいそう。




「玖美、愛してるよ。玖美の全てを感じさせて」


「ん・・・雅・・・・・・」




ゆっくりと触れ合う唇に、あたしは目を閉じた。









あまりの幸せに気付かなかった。


あたしたちを引き裂こうとする手が傍まで、来ていることに・・・。



< 61 / 122 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop