閑中八策
 さてその場所だが、これは東京である必要はない。
 陛下のご希望が第一だが、特に思い入れのある場所がおありなら、地方に記念館を建ててもいいのではないか?

 昭和天皇は海洋生物学者でもあったので、葉山の御用邸が大変お気に入りだったと聞く。
 今上の陛下にも、東京以外で特にお気に入りの土地があればそこに記念館を置けばどうだろう?
 東日本大震災の被災地を気にかけていらっしゃるようだから、記念館の方は被災地の復興プランに組み込んでもいいかもしれない。

 今後天皇の記念館が御陵とは別にあちこちの地方に置かれるようになれば、そこを訪れる人も増えて地域振興にもなるかもしれない。
 天皇を町おこしの道具にする気か?と怒られるかもしれないが、そこがご自身のお気に入りの土地であったのなら、少なくとも今上天皇は気になさらないのでは?

 ちなみに若い人のために余計な事を言っておこう。「~天皇」という呼び方は諡号(しごう)と言って、ご本人の死後になって初めて正式に決定されるおくり名である。
 だからご存命中の天皇を「平成天皇」と呼んではいけない。それは不敬になる。どうしても必要な時は「今上天皇(きんじょうてんのう)」あるいは「今上の陛下」と呼ぶ。

 さて女性宮家の方もなかなか結論が出ないようだが、皇統にはなんとか末永く続いて欲しいものである。
 ただ、皇統が今後もずっと続いて行った場合、ひとつだけ心配な事がある。

 戦後、天皇の誕生日は国の祝日になり、ご崩御後も名称は変わっても祝日のままになっている。
 たとえば昭和天皇の誕生日である4月29日は以前は「天皇誕生日」という祝日で今は「昭和の日」という名の祝日だ。
 

 今上天皇の誕生日は12月23日。これは現在の「天皇誕生日」。
 今の皇太子殿下が即位すると2月23日が天皇誕生日の祝日になり、12月23日は何か別の名前の祝日になると思う。

 皇統が今後数十代、数百代と続いていくと歴代の天皇の誕生日である祝日の数がどんどん増えていき、一年のうち平日の方が少なくなってしまい、その結果日本の経済力が低下するのでは?という懸念が無いとは言えない。
 まあ、こんな心配は気が早過ぎるだろうか?
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