愛は満ちる月のように
美月の肌は綺麗に日焼けせず、赤くなるタイプだ。肌が弱いと言われたこともある。そのせいか、日本人の中では白いほうだろう。病弱だった母の肌も白かった。母と一緒だ、と喜んだ子供のころが懐かしい。


(これって女として魅力的なのかしら? それとも、もっと健康的な肌の色が好まれるの? ユウさんが好きなのは……)


柔らかな立体感のある曲線が白いバスローブの間から見え、さらにその頂が鏡に映ったとき――。


「美月ちゃん、いつまで入ってるんだ? ひょっとして寝てるんじゃ……」


心配だったのか、それとも無意識か。ノックもなしに洗面所のドアが開き、悠が中に入ってきた。

美月は声を上げるのも忘れ、鏡越しにふたりは見つめ合う。


ほんの数秒……美月は呼吸が止まった。


「ごめん、まだ中だと思ってた。何もないならいいんだ」


悠は慌てて目を逸らし、即座にドアを閉めた。


彼の対応に好感を持ちながらも、本当は女性としての魅力に欠けるから、悠が衝動的になってくれないのではないか?

そんな不安に駆られてしまう美月だった。


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