冬の香り
真っ白でサラサラの雪。

アタシの醜い心とは正反対。


特に本気で異性を好きになったこともなく、ただ向こうから積極的にアピールされれば適当に付き合っている。

もちろん誰でも良い訳ではなく、いわゆる"イケメン"と呼ばれるような、見た目の良い男限定。

オシャレをして、メイクをして、隣には良い男、誰もが羨ましがる男の横を歩くのがとても好きなのだ。


「あの人カッコイイ!」


そんな声が聞こえるととても鼻が高かった。

男は性格、だなんて幻想を抱いている女が多いが、アタシはそんな馬鹿げた夢をみるようなタチではなく、男を選ぶ基準は当然顔、顔以外は考えられない。

まあ、そうやって男を顔で選んでいると、中身がピーマンや蓮根のようにすっからかんな奴も多いが、そんな奴はすぐ捨てて次へ行けばいい。

幸いアタシは、次から次に男が寄ってくるし、不自由はしていなかった。

そんなアタシを見て、誰かさんがよく口にする言葉がある。


「ちゃんと素敵な恋をして、純愛に目覚めようよ。大好きな人と一緒にいられる幸せ、香緒ちゃんにも知って欲しいなぁ。」


純愛?何それ、そんなの良くわからない、わかりたくもない。

大体"好き・特別"という感情すらよくわからないのに。

好き、に順番や特別がある?そんなの差別じゃないのか。

好きなものは好き、お菓子も人も、みんな同じ、好き。

特別な感情なんて要らないし、男なんて使い捨て、その場しのぎのアクセサリー。

きっとそれが一生続く。

でもそれでもいい、イケメンでお金持ちの男と結婚して、人に羨ましがられながら生きていく。

想像するとワクワクしてくる。
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