姫の笑顔は俺のもの
しばらくして落ち着いたのか、柚姫が抱きしめていた俺の腕をそっと離す

「・・・ありがとう、凉晴君」

「別に。あと、優羽でいい。葵も燐も呼び捨てなのに俺だけ苗字で君付けって差別されてるみてえ」

「え、そんな差別なんてそんなつもりで読んでたんじゃないよ!?葵と燐が、そう呼んでって言うから・・・」

「じゃあ、俺の名前も呼べよ」

「うん、わかった」

「あと、俺はお前のこと『姫』なんて呼ばねえから。柚姫は柚姫だし」

「うん。アタシもそう呼ばれた方が嬉しい!『姫』ってあだ名アタシなんかに合ってないしさ」

「いや似合ってると思うけどな」

ただ、色んな奴が『姫』って呼んでるからかぶりたくないだけだ
『姫』の名前自体は、柚姫に似合っている

「わ、若いのにお世辞なんていってんじゃないよ////」

「おい、お前は何処のババアだ」

「だって、似合ってるとかそんな真剣に言われたら照れるじゃないか」

「なんでだよ。葵にも燐にも言われてたじゃねえか。俺だけ反応違うっておかしいだろ」

「それもそうだよね」

さっきまで、泣いてたくせに変な奴

「じゃあ、アタシそろそろ戻るね」

「ああ、じゃあな」

「うん。話聞いてくれてありがとね、嬉しかった」

「ただ気が向いただけだ」

「ふふ、意外に照れ屋さんなんだね~♪」

「うるせえ。早く行けよ」

「はーい。おやすみ!あ、あとさ」

「なんだよ、まだなんかあんのか?」

「世の中に生まれてきたらダメな人間なんていねえとか、会えてよかったと思ってるとか、少女マンガのヒーローみたいな台詞、優羽みたいな人が言うなんて意外だよね!それじゃあ」

「ちっ・・・」

みたいな人ってどういう意味だよ。
こんな不良が言う訳ねえってか
というか、なんではっきり記憶してんだよ
リピートされるとすげえ恥ずかしいじゃねえか

< 24 / 111 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop