姫の笑顔は俺のもの
「ねえ、お願いだから4時間目は出させて?じゃないと・・・」

「じゃないと?」

「・・・いや、アタシ転校初日だしささすがにサボるのはダメかなって」

「それもそうだな、じゃあ俺と姫だけ戻ろうか」

「え、葵だけなの?燐と凉晴君は?」

「俺はここに居る」

「姫が戻るんだったら僕も戻るよ。授業面倒だけど姫が、教室に行くんなら僕も一緒に行く」

「な、なんでそんなにアタシが中心に動いてるだ燐は」

「なんでって、決まってるじゃん。僕、姫のこと気にいったからだよ」

「そうなんだ・・・」

まただ・・・またそんな表情をする
柚姫、お前は何を思ってそんな顔をするんだ

俺が気にすることもないはずだ。だがなぜか目が離せない

「なあ優羽。姫に様子に気づいてるか?」

そっと俺に近づき小声で話してくる
なんだ・・・葵も気づいていたのか

「まあな」

「この学校に転校してきた理由と何か関係あるのかな?
だってさ、高校で転校ってすごい珍しいことだし」

「そんなの知るわけねえだろ」

「だよな~」

「ねえ、凉晴君も一緒に戻らない?アタシ達はもう戻るけど」

「さっきここに居るって言ったじゃねえか」

「そうだね・・ごめん」

「姫、気にしない気にしない!俺たちだけで戻ろう」

「う、うん」

まだ心残りがあるのか、もう一度だけこっちを振り返る
なんであんなに俺に構ってくるんだ
俺は、教室の雰囲気が嫌いだし団体行動が元から苦手なんだ
あんな場所、ずっといられっかよ




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