年上彼氏
慣れない校内を2人でさまよいながら彼を探す。

「たぶんこっちのほうに行ったと思うんだけど…」

先ほどの騒がしさが遠くに聞こえるほど、
私たちは人気の少ない場所にきていた。

「ここどこだろーねー。紫ー本当にこっちであってんの?」

「…う、うん、たぶん…」

徐々に自信がなくなり始め、きょろきょろと辺りを見回していると

「あ!いた!あの人だよ!」

ちょうど先ほどの彼がどこかの部屋に入るところだった。

「え、どこどこ!」

「あそこの部屋に入って行ったよ!」

「じゃあちょっと見に行ってみようよ。」

「うん。」

そうして扉の目の前までくる。

『本 愛好会 -本好きな方なら大歓迎!-』

「本 愛好会…?」

扉にはそう書かれた紙が貼りつけてある。

「もしかしてこれもサークルの1つなんじゃない?」

隣で小夜が怪しげに扉を見つめて言う。

「な、なんかちょっと不気味じゃない?他のサークルの部屋とも
かなり離れてるし…中も静かすぎない?」

「そ、そうだね…やっぱり帰ろうか。」

「うん。そうしよ。」

そう思って2人で踵を返したとき-----


「えーーーーー!なになに!君たち新入生?!
もしかしてサークル見学に来てくれた!?
わーー嬉しいな!さ、中へどうぞ!」

突然目の前に1人の男の人が現れた。

見るからにチャラい。
髪は金髪、ちょっと長め。顔はかっこいいが
服も全体的にだぼっとしてる感じで
話し方からもその性格が伺えるようだ。

どうやら話の内容からするとこのサークルの人らしい。
でもこのサークルにはあまりにも不釣り合いじゃない?
って思ったけどそんなこと言えるわけない。


いきなり話しかけられて、しかも帰ろうとしてたから
どう反応していいのかわからない。

でもこのままでいられるわけもないと思っていると…
小夜が口を開いた。

「あ、私たち道に迷っちゃって…学校の出口探してたんです!ね!紫!」

「え、あ、ああ、うん!そうなんです!道に迷っちゃって!」

「へえ~!君ゆかりちゃんて言うの!かわいいね~!
まあまあ、後で出口まで案内してあげるからとりあえず中見学していきなよ!
ね?大丈夫、とってくったりしないからさ!」

「は、はあ…」

結局先輩の誘いを断れるわけもなく、私たちは
『本 愛好会』に足を踏み入れた。

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