嘘と女王と事件と
 
「王、この事は内密に事故として扱いましょう」

耳を疑った。
僕は女王を殺したのに。
僕は妻を殺したのに。

「……何故、隠すんだ?」

「失礼ですが皆女王様には不満を抱いておりました。

だが誰も逆らえなかった。

だから亡くなっても誰も王を責めはしません。

唯、隣国に妻を殺したのを知られるのはいけません。

なので女王様は暫くして病気で亡くなった事にしましょう」

他の家臣達も頷いていく。

「……僕が王でいいのか?」

だって僕は女王を殺したのに。

だって僕は女王の為に好き勝手してきたのに。

そんな僕でいいの?

「貴方がいいのです」

家臣達は言う。

「貴方は国を人をおもってくれている。私達は貴方がいいのです。今日の事は私共がなんとかします、王はいつも通り何もなかったかのようお願いします」

そう言い家臣達は血の跡を、女王を殺した跡を消していった。

 
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