天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜

悲愴

今日は、快晴だった。

海面ギリギリを、白い翼を広げて飛んでいたアルテミアは、

太平洋上にある…小さな島に、上陸した。

明らかに、船が上陸できる場所もなく、切り立った崖が、人が住むのを拒んでいた。

生い茂る木々と、空を飛べる野鳥ぐらいしかいないと思われる島の中央に、アルテミアを呼んだ人物がいた。

明らかに、人ならざる者の力でできた広場の中央で、

その者は、アルテミアを待っていた。

いや…彼女ではない。



「あんたが…氷の女神なんてふざけた名前を、名乗っている人間ね」

腕を組み、木々を薙ぎ倒してできた広場で、舞子は目の前に、着地したアルテミアに、鼻を鳴らした。

「申し訳ないけど…あんたに用はないのよ…天空の女神様」

不敵な舞子の態度に、軽くアルテミアはキレた。

「人を呼び出しておいて…それはないだろ?氷の女神マヤ!いや!守口舞子!」

アルテミアは、着地すると、翼を消し…拳をボキボキと鳴らした。

「それにしても…便利よね」

舞子は、携帯を取出し、メールをチェックする。

「だって……メールで、女神を呼び出せるんだから」


アルテミアの携帯が鳴った。

白のジャケットを着ていたアルテミアは、ポケットから携帯を取出し、

メールの内容をチェックした。

「失せろ……」

舞子からのメールの内容だった。

わなわなと、全身を震わせ、

「ぶっ殺す!」

アルテミアは、携帯を砕く勢いで、握り締めると、

一歩前に出た。


「アルテミア」

ピアスの中から、僕は声を出した。

「彼女の目的は、僕だ」

その言葉に、アルテミアは怒りに震えながらも、渋々頷き、

そして、叫んだ。

「モード・チェンジ!」

アルテミアの姿が消え…同じ場所に、同じ立ち位置で、僕が立っていた。

「赤星浩一…」

学生服姿の…あの時代と変わらない僕に、舞子は目を細めた。

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