天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
番外 注文
注文の多い料理店という話を、ご存知でしょうか。

料理店に入ったお客が、実は…逆に食べられる食材になっていたという話だ。

単純な話だけど、風刺がきいていた。

自分が支配してるはずなのに、本当は違う。

世の中、そんなものかもしれない。



「鈴木!てめえ!俺が買ってこいと頼んだものと違うだろ!」

いつもパシリとして、同級生にこき使われていた鈴木総司は、屋上で待つ五人の為に、昼食を買わされていた。


「ここ何日も、毎日間違えやがって!やる気あるのかよ」

鈴木を殴った同級生は、文句をいいながらも、一応買ってきたパンを口にする。

「俺は、おにぎりがいいといっただろが」

軽く蹴ながらも、みんな一応食べる。


無抵抗に、殴られながらも、鈴木はじっと、五人が食べるのを見ていた。

「だって…これが、好きなんだもの…」

呟くようにいう鈴木は、おとなしく五人が、食べ終わるのを、待った。




「まったく…明日は言われた通りにしろよ!」 

同級生達は、食べ終わるとパンの入っていた袋や、空になった弁当箱を、鈴木に投げつけた。

「終わったね…」

鈴木はにやりと、口元を緩めた。

そして、おもむろに、ポケットから、あるものを取り出した。

それは、ドレッシングだ。

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