天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
番外 麻薬
心を落ち着ける為に、薬に手を堕した松木雄太は、

普段は、誰よりも落ち着き、誰よりも優しい目をしていた。

菩薩のような人と、周りでいわれていたけど、

それは嘘だった。


薬が切れると、落ち着かなくなり、同棲していた彼女に、手を出していた。

殴られても、普段の雄太を知っている彼女は、薬がキレた雄太こそが、おかしいのだと思い、

薬を飲むことを、積極的に進めた。


飲むと、誰よりも優しくなり、穏やかになる。

(ああ…これこそが、あなたの本当の姿なのよ)

彼女は、穏やかな雄太に抱かれながら、何度も心の中でそう思った。


しかし、そんなことは、長くは続かない。

人の体は慣れるのだ。

いつもの量では、効かなくなってきた。

イライラし暴れる雄太もまた…今、が自分ではないと思っていた。

だから、薬の量は増え、

気持ちは落ち着いても、

体は、蝕まれていった。


そして、ある日…もう戻れなくなっていた。

あれほど澄んでいた目に、影がでてきたのだ。

精神は、落ち着いても、体は悲鳴を上げていた。

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