天空のエトランゼ〜哀しみの饗宴(魔獣因子編)〜
このカードは、力なき人間の為に作られたと……。

資格…資格とは、何か。

考え込む明菜の両肩に、美奈子は手を置いた。

「あたしには…わからないけど…一つだけ、確かなものがある」

美奈子は、じっと明菜の目を見据え、

「あたしが、カードを調べている時…もう一つの噂があった…」

「噂?」

「そうよ」

美奈子は、力強く頷き、

「…人であらざるものに関わったもの……そこには、絶望しかない。しかし、それを救う者がいる!」

美奈子は、明菜の肩を軽くにぎりしめ、

「その者は、ブロンドの女神」

「ブロンドの…女神…」

美奈子の言葉を繰り返す明菜に、美奈子は力強く頷き、

「それは…赤星浩一が、あの世界に残る理由といった…女じゃないのか?」



明菜は、考え込んだ。

詳しくことは、きいていなかった。

だけど、赤星が好きになった女……異世界に残ることを決意させ、

家族や友達さえ捨てさせた女は……。



「どうか…わかりません。でも……」

明菜は唇を噛み締め、言葉を絞りだした。

「こうちゃんは…誰かが困っているなら、必ず助ける人です」

そう…だとしたら、浩一はこの世界にいる。

明菜は、確信した。

しかし、カードの件とか考えると、

簡単に、嬉しくなっている場合ではなかった。




「団長…通し稽古終わりましたけど…」

唐突に、ドアが開き、美香が顔をだした。

「あっ!ごめん…。もう一回やってくれるかな」

美奈子は、カードをしまうと、店の中に入った。

その後を、明菜が続こうとしたが、

美香はドアを閉めた。

明菜は、気にすることなく、自分でドアを開け…中に入った。

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