GEDOU―樹守る貴公子―
「――外道の綺麗言など、耳に入らぬわ」
幻周が吐き捨てるように言った。
「化け物め」
天冥は言い返し、懐から一本の懐剣を取り出した。震える左手で、懐からもう一つ――渾沌の像を取り出した。
地面に懐剣を突き刺し、自由になった右手で剣印を結ぶ。
「古より生まれたるものよ・・・」
天冥は息を吐くと共に唱えた。
「貴神の型代より現たまえ、四凶よ」
剣印を上に向ける。
「悪と邪の混ざりたるもの、司るもの・・・」
剣印を血だまりにつけると、血が奇妙なまでにうねった。
「世に君臨せよ、現れよ、喰い滅ぼしたもれ、来たれ四凶―――」
天冥は鋭く言い放った。
「渾沌!!」