ファンタスティック·レボルバー

「二条幸香[にじょうさちか]は、今日も見学だな」


「はい。すみません」


「いや、体の問題だから仕方がない。次からは室内競技だから、今日はいつものところで我慢しろ」



名簿に何かを書き込みながらそう言うと、先生は他の生徒達のところへ歩いて行った。


私も、いつものところ、つまり、グラウンドの端の校舎の影に座る。



7月になったばかりの6限目。


あまりにも高い位置にある太陽は、校庭にある様々なものを惜しみなく照らしている。



自転車のシルバーのボディー。

水道から落ちる雫。

白いバレーボール。


そして、文句を言いながらも笑ってボールを弾く生徒達。



全てがきらきら輝いている。



もしも私が、あの中に入れたなら……


そう考えたことなら、数えきれないくらいある。



でも、それが叶わないことも、私は十分にわかっている。
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