小さな宝物
第②章

★衝撃的な事実★

『あおい~!早く起きないと入学早々遅刻するわよ~』


1階のリビングからお母さんが呼ぶ。


お母さん、実はね!


あたし1時間も前から起きてるの。


だって…なんだかルンルンなんだもん。


あたしも今日から高校生。


きっと…素敵な出会いが待ってるんだ♪


『この名札の持ち主にあえるかな』


あたしはタオルと名札に話し掛ける。


そう。


電車での出来事があった日からずっと、あたしの枕元にはタオルと名札が置かれてる。


まだ顔も見た事ない人なのに…


なんかすごいドキドキするの。


早く逢いたいな。


『あら。もぉ起きてたの?珍しく早いぢゃない』


リビングに降りると制服姿のあたしを見て、お母さんは驚いている。


『だって今日から高校生なんだよ!大人になったんだから遅刻なんてしないよ』


あたしは自慢げに言う。


『ふふ…そぉね。制服よく似合ってるわ。可愛い。』


お母さんはニコニコしながらあたしを見る。


『そぉ?なんか照れるなぁ…えへへ。』


あたしは赤くなりながら、朝ご飯のパンを頬張った。


『朝から賑やかだな。たかが入学式だろ』


寝起きで寝癖マックスのお兄ちゃんが、笑いながらリビングに入ってくる。


『あっ!お兄ちゃんおはよ!見て見て~新しい制服似合う?』


あたしはお兄ちゃんの前に立ち一回転ターンをする。


『はは。前とたいして変わんねぇぢゃん。』


お兄ちゃんは呆れたように言う。


『もぉ~そんなんぢゃ女の子にモテないよ!』


あたしはイスに座り、お兄ちゃんに背中を向けてパンを食べる。


『彼女いるからモテなくて結構です。』


お兄ちゃんは意地悪く言う。


そんなお兄ちゃんはあたしとは違う高校の3年生だ。


お兄ちゃんには可愛い彼女がいる。


朝からノロケかよ!


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