桜空あかねの裏事情

だが結祈に対しては、度が過ぎているのだ。
まるで自分の玩具のような扱いで、時に人として見ていないのではないかと思う時がある。
ジョエルは朔姫にとって尊敬に値する人物でもあるが、同時に不可思議な部分を否めないのも事実だった。


「結祈は……」

「はい?」

「ジョエルといつから一緒にいるの?」


オルディネに所属してから、ずっと気になっていた事を口にする。
二人きりの空間だからこの際聞いてみたが、困惑した結祈の表情からしてそれは無粋な質問だったかも知れない。


「そうですね……あまり考えた事ないですが、物心ついた時にはすでに彼はいましたから、期間としては長い方かと」


明確ではないものの、結祈はその問に答えた。
だが朝食の準備をしている為、背を向けた彼の表情は分からない。


「今日の朝食は、トーストと目玉焼きにしようと思ったのですが、何か要望はありますか?」

「特に……あ、何かフルーツある?」

「ええ。一応、林檎と苺、それにグレープフルーツがありますよ」

「じゃあ苺と……良かったら林檎で」

「分かりました」


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