桜空あかねの裏事情

ヴィオレット 円卓の間




チーム・オルディネが贔屓にしている飲食店、ヴィオレット。
昼は高級レストラン、夜は小洒落た酒場となり、華やかで落ち着いた雰囲気が好感を持たれ、異空間・プラティア一区の看板店かつ異能者の行き着けの店となっている。

そのヴィオレットの店内の最奥にある一室。
チーム・オルディネに所属する異能者のみが使用することを許される円卓が置かれた空間。
俗に円卓の間と呼ばれている。

普段一人二人しか使用しないその部屋は、オルディネ特有の恒例の事柄により、複数人が集まっていた。
穏やかな空気が次第に緊迫したものとなる中、その集いを取り纏めている黒服の男――ジョエルが口を開いた。


「結祈」

「はい」

「朔姫」

「はい」

「ギネヴィア」

「いるわよ」

「昶」

「お、おう」

「駿」

「ああ」

「陸人以外、全員いるな。では」

「あのー」

「……何だ?」


話を止められた所為か、気怠そうに視線を向けるジョエル。
すると昶は、辺りを見回しながら彼に尋ねた。


「あかねは?」

「お嬢さんはリーデル候補であって、正式な所属者ではない。今回は部外者だ」


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