桜空あかねの裏事情

不意に投げられた問い。それは自分も思っていた疑問でもあったが、当然ながら知る由もなかった。


「さぁ……ジョエルにここで待ってろって言われただけだし」

「ああ、やっぱり」

「?」

「円卓の間で行われてるのは、オルディネが毎月行う会議さ………そうッスよね?アーネストさん」


そこで瀬々は、反対側に座るアーネストに初めて話し掛けた。
友人と話す時とは違う挑発的な笑みを浮かべる瀬々に、普段と何ら変わりのない微笑みを貼り付けたまま彼は口を開いた。


「ご明察の通りだよ。ちなみにその部屋にある円卓はオルディネの所有物なんだけど、黎明館に置くには些か邪魔でね。ヴィオレットに移させてもらったんだ」


優雅に紅茶を飲みながら、二人に向けて答えた。
その振る舞いはどこぞの貴族のようで、近くに座っている女性客の視線をひしひしと感じる。


「もしかして、君は瀬々くんかな?藍猫で働く、あかね嬢の友人」

「そうッスよ。俺の事知ってたんスね」

「あかね嬢が話してくれたからね」

「え――」


小さく声を漏らすと、アーネストはあかねに向けてウィンクをする。
彼に瀬々の事を話した覚えがなかったはずだが、とりあえず話を合わせることにした。


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