嗚呼、素晴らしきかな。
はじめまして、お嬢さん。

俺は気ままな野良猫さ



誰にも邪魔をされないように俺だけが知っている穴場で魚屋でくすねた魚を食べ、うららかな陽気に睡魔が襲う昼下がり。
しかし俺は睡魔に負けている場合じゃないんだ。

足取りも軽やかに俺はある場所に向かう。
途中で花屋の花をくすねて、田中さん家の窓ガラスを見てヒゲを整える


「よし。」


田中さん家の屋根に登り、佐々木さん家と柳さん家を颯爽と越えた先にある朱い屋根の家
あそこに彼女がいるんだ。


目的の場所に着いて俺は窓から中を覗き込んだ


中にいるのは綺麗な毛並みの白猫ちゃん


「いつ見ても可愛いよなー。」


名前も知らない彼女を見るために俺はここ最近はこの家に足を運んでいる


本当は声でもかけてみたいところなんだが、窓が閉まってる以上声は届かない。

まあ、今はこれでいいんだ。


クッションの上で丸くなって眠る彼女をしばらく見つめていた。
あの瞼の下にある瞳はどんな色をしているのだろう。
どんな綺麗な声で鳴くのだろう。
どんなものが好みなんだろう。

考え出したら止まらない。これ以上は妄想になってしまうだろうか。




「うおーい!シュウじゃねーか!」



ああ、相変わらず空気の読めない猫だな。


「何だよルイ。」


俺は彼女の姿をもう一度目に焼き付け、窓際に花を添えてから屋根を降りた。






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