○○彼氏。【完】

だって優希がかまってくれないのが悪いんじゃん!!


こんなの恋人じゃないよ!!


ただの世話係りだよ、世話係り!!


なんてことは口が裂けても言えず。


グッと涙をこらえて手当てを続けた。


「はい、終わり」


パタン、と救急箱を閉じると優希はすぐに立ち上がって、


「じゃ、気をつけて帰れよ」


と言って帰っていった。


「気をつけて帰ってほしいんなら家まで送ってけ、バカ」


誰もいなくなった保健室に、あたしの鼻をすする音と声だけが響いた。

< 120 / 355 >

この作品をシェア

pagetop