○○彼氏。【完】

早く行かないと売り切れちゃう。


俺は席を立ち購買へ向かいパンを買うと、そのまま屋上に行った。


「やっぱ、少し暑いかな」


夏も目前に迫った六月。


風は吹いているというものの、屋根のない屋上は日差しが直接当たり、熱気に包まれていた。


そんなところにあまり人はいない。


だから、ゆっくり昼ごはんを食べるにはもってこいの場所。


そして、昼寝にも。


少し影になっているところで食べようと移動すると、そこには珍しく先客が。


「なんだ。誰かと思えば菜奈ちゃんじゃないか」


俺はやっほー、と手を挙げ声をかけた。


突然声をかけられたのに驚いたのか、菜奈ちゃんはビクッと体を揺らしこちらを向いた。


「・・・・・なんで、ここにいるの?」


すぐにまたいつも通りのポーカーフェイスに戻り、尋ねてくる菜奈ちゃん。



< 350 / 355 >

この作品をシェア

pagetop