わたしの魔法使い
「颯太、遅いよ!」


マンションに戻ると、朱里は玄関の前で待っていてくれた。

今日はシックに黒い服。

それが朱里の魅力を引き出していて、やっぱり可愛い。

……いや。綺麗だ……


って、見とれてる場合じゃないし!


「それじゃあ、行きますか!でもその前に…朱里、目ぇ閉じてて。」

「どうして?目、閉じたら歩けないでしょ。」

「僕が連れていくから。」

「…じゃあ……」


朱里はそう言って目を閉じた。

僕は朱里の手を取り、ゆっくりとエントランスへ向かった。








「…――目、開けてもいいよ。」

「――!何これ?!どうしたの?レンタカー?」

「っんなわけないでしょ?正真正銘、僕の車。」

「車持ってたの?ってか、免許持ってたの?」


僕と車を交互に見て、驚いている。

その顔が見たかったんだ!

やったね!サプライズ大成功!

早起きして良かったー!


「どうぞ。お嬢様。」


恭しくドアを開けたけど、クーパーだからリムジンのように格好はつかない。

だけど嬉しそうに僕の手を取り、車に乗り込む姿は、どこから見ても“お嬢様”だった。





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