マスカケ線に願いを

 でも、そんなの嘘。

 人は、一人では生きていけない。
 だから、パートナーを探す。

 私だって、一人では生きていけない。

 だから、私だってパートナーが欲しい。


 ねえ、ユズ、願ってもいい?
 貴方が、私を放さないと、離れていかないと、願ってもいい?


「杏奈、愛してる」

 ユズ、お願いだから、私を放さないで。

「今日は、寝かしてやらない」
「それは困るよ」

 私の言葉に、ユズはとびきりの色気を帯びた笑顔で、口を開いた。

「俺の虜にしてやる」
「きゃっ」

 いきなり私を抱えあげる。

「姫君、寝室へ向かいましょう」
「な、ナイトは姫に手を出しちゃいけないのよ」
「なに、気にするもんか」
「でも……んっ」

 強制的にキスで口をふさぐユズは、ずるい。

「あんまり俺に我慢させるなよ、子猫ちゃん」
「っ」

 こうして、ユズと私は正式に付き合うことになった。

「夜は長いぞ」
「……っ」

 私は、ユズに振り回されっぱなし。


< 138 / 261 >

この作品をシェア

pagetop