マスカケ線に願いを

「まあ、あいつに言い寄る女も少なくはないけど、重度のシスコンだからな……」
「うん、シスコンだよね。でもマザコンじゃなくて良かったよ」
「似たようなもんだろ」

 そう言って目元を細めて笑うユズが、愛おしい。

「小夜さんの恋が上手くいったらいいのにな……」

 ぽつりと呟いた私に、ユズがうなずいた。

「よし、何気なく聞いといてやる。幸樹の恋愛事情」
「本当に?」

 目を輝かせた私だったけど、ふと不安になる。

「そんなことして、コウにばれないかな?」
「あのなあ、俺を誰だと思ってるんだよ」

 ユズの言葉に、私は笑って、

「私のストーカー」

 と答えた。ユズは私を捕まえて、わき腹をくすぐりだした。

「きゃっ、ちょ、やめて……っ」
「やめてやんなーい」
「やだっ……」

 くすぐったくて暴れる私を、面白がったユズがエスカレートする。

「やっ」

 首元を舐められ、私はびくりと反応した。

「ユズ……っ、明日も仕事……!」
「いいだろ、たまには……」

 その声には、熱がこもっていた。こうなったユズは止められないということを、私は知っていた。

「ん……っ」

 だから諦めて、ユズに身を任せることにした。


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