トーカタウンの子供たち
「もしかしてその猫…」
(ううん、そんなはずは…でも!)

「どうしたの?」

「その猫、あの時僕らを助けてくれた猫ですよね」
ハジメっちが僕の思いを代弁してくれた。

「あなたたちに隠してもきっと納得しないでしょうね。それなら話したほうがいいかな。けど絶対に秘密よ。他の誰かに知られたら、あなたたちまで…」
リンさんが僕たちを脅す。しかしその顔には優しい笑みが浮かんでいる。

「そう、確かにあの猫よ。でも今は力を一時的に失って普通の猫に戻っているの。眠っているようなものね」
猫をそっと抱きかかえる。

「まさか助けに来るとは思わなかったわ。捕まったら何をされるかわからないのに。全く、後先考えないんだから」
リンさんは呆れたように話している。でもその表情は嬉しそうだ。猫の額を優しく撫でる。
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