トーカタウンの子供たち
第5章

メタトロン

ヘリで逃亡したゲニーエフが海上の孤島の秘密基地から放送を始めた。
北の海域には多数の孤島が存在し、特定は難しい。

「国を導く私に歯向かうものは国民にあらず。粛正してやろう」

孤島のひとつからミサイルが一発打ち上がった。

それをいち早く見つけたハリーがミサイルを無力化する。

「被弾せずに落ちたのは化け猫の力か?ならばこれでどうだ」
更に一発、二発、三発…あちこちの孤島からミサイルが打ち上げられていく。その数は数十発にも及ぶ。

「いったいどれだけあるんや」

赤き黎明の部隊やアーサーたちも海岸線に到着し、街を背に迎撃を始めた。
そこには正規軍のラビィもいる。

「ダメじゃ!一発間に合わん」

その時だ。一筋の閃光がミサイルを撃ち抜いた。

傷ついたウラルの翼のスナイパーだ。他の機体も迎撃してくれている。

「あいつら…。しかしこれでは数が多すぎるわ」

「かのメタトロンでもとめられまい」
ゲニーエフがモニターの向こうで笑う。

「メタトロン。そう呼ばれとったこともあったな」
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