下剋上はサブリミナルに【BL】
勉強してメシ食って掃除して、気が付けばあっという間に放課後。


「おい、忍!」

基本、教科書は学校に置きっぱだけど、宿題が出されている現国のみ鞄に詰めていると、勇気が近づきつつ声をかけてきた。

「お前これからバイト?」

「いや。今日はシフトには入ってないけど」


勤労少年のオレのバイト先は、家から徒歩10分の距離にあるクリーニング屋さん。

土日を含んだ週3~4日勤務で、シフトはその週によって違うので曜日は固定ではない。

他のパートさんは全時間帯でローテーション勤務だけど、オレともう1人の学生バイトは17時から20時の間だけという約束になっている。


「じゃあさ、帰り、高橋ん家行かねぇ?佐藤も来るってよ」

「えっマジ?」


1年の時に同じクラスだった奴らの名前だ。

今でも交流は続いている。

「高橋の家に集合って事は恒例のゲーム大会?」

「うん。また新しいソフト手に入れたらしくてさ。今から教室に迎えに行くんだけど……」

「久しぶりだよな~。行きたいけど、今日はダメなんだ」

「え?何で?」

「洸に、買い物付き合うように頼まれてるから」

「ふ~ん…」

勇気の声のトーンはいきなり下がった。
< 15 / 67 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop