下剋上はサブリミナルに【BL】
「なにやら随分仲良さげに話してたな」

「うわっ」

1組の教室に向かおうと数歩歩き出した所で突然背後から声をかけられ、思わず叫び声を上げてしまう。

「び、びっくりした。お前か」

振り向くと、腕を組み、ドアの横の壁に左半身をもたれさせるようにして立つ洸の姿があった。

「お前があまりにも遅いから迎えに来たんだ」

「いや、だって、掃除終わったのついさっきだし……」

「いつも言い訳ばかりだな」

洸は眉間に皴を寄せた。

「素直に『ごめんなさい』と言えば良いんだ。行くぞ」

言いながら、洸は早足で歩き出し、オレの傍らをスルリと通り抜けると、あっという間に数メートル先まで行ってしまった。


くっそ~。

いつもながら、誰も見ていない所では威張り散らしていやがる。

……つーか、何か今日はムチャクチャ機嫌が悪くない?

怒るにしても、いつもはそうなる流れがあって【ドカーン】って爆発する感じなのに、今日はもうすでにキレてました、みたいな。

しかも、すっげー冷たく静かに。

そんなに迎えに行くのが遅れたのが気に入らなかったんだろうか?

何だか腑に落ちない思いを抱きながらも、オレは慌てて洸の後を追った。
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