アンダーサイカ



私もヨシヤも少食だから、すき焼きは半分以上お鍋の中に残ったまま。

そのことを口にするとヨシヤは、「一晩寝かせても美味しいから大丈夫」と言っていた。




「今日はありがとうございました、豊花ちゃん。
お家に帰ったら、ゆっくり寝てくださいね。」


そう言うヨシヤの手には、私が帰るために必要な、紫の小瓶が握られてる。

私が満腹でちょっと眠くなってきたことに気づいてくれたんだ。


「今夜も呼ぶの?」

「本当は呼びたいところですけど、お使い行ってもらったので今日はお休みでいいですよ。」

「そっか。」


休んでいいと言われて、ちょっとホッとした。
眠いところを起こされたら嫌だもん。


「………ふふっ。」


「?」


ふいにヨシヤが嬉しさを堪えるように笑った。

私は首を傾げる。


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