アンダーサイカ



沸騰した電気ケトルが「ぱちん」と軽快な音を立てる。

それでも私はヨシヤから目が離せなかった。



―――今、ヨシヤは…何て言った?



聞き間違いじゃないなら、今確かに、


―――“稔兄ちゃん”の名を口にした?



「ヨシヤ、なんで…稔兄ちゃんのこと知ってるの?」


「知っていますとも。」


私の問いに、ヨシヤは胸を張って答える。


「ミノルくんは僕の友達であり、ヒーローなんですから。」


「ヒー…ロー……?」


意味が分からなかった。



友達ってことは…、稔兄ちゃんはアンダーサイカに来たことがあるってこと?
ヨシヤと知り合って友達になって、……いや、名前を知ってるってことは私みたいに支配されてた?
でも、それっていつ?10年以上前?稔兄ちゃんが12歳の時より前ってこと?
その後、斎珂駅で自殺した………?


< 320 / 506 >

この作品をシェア

pagetop