アンダーサイカ



長すぎる警鐘に早くも耳鳴りを起こしながら、僕は店の入り口から外を覗きます。


相変わらずの暗い廊下。

しかし、周りの店からもちらほら顔を出している商売人が見受けられました。

「………。」

何が起こっているのでしょう。


今まで経験したことのない事態に、僕は正直戸惑っていました。


―――豊花ちゃんだけは、何としても無事に帰さなければ。


アンダーサイカでの保護者のつもりです。
思い立つが早いか、僕は踵(きびす)を返そうとして、



「…薬屋…!!
聞け!緊急事態だ!」


「……警備員さん?」


豊花ちゃんに“キョウ”と名乗った警備員さんに呼び止められました。


軍服姿に銃剣装備はさっき会った時と変わりません。
…しかし今度は、だいぶ焦った顔をしています。


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