アンダーサイカ


小学生のひ弱な力じゃ歪ませることすらできない。今の私には、これが聳え建つ鋼の壁にしか見えなかった。

…それでも、そんな理由で諦めていいわけがなくて。


「…開けて!!開けて誰か!!
キョウくん!マサちゃん!!

……ヨシヤッ…――!」


ずきん。
胸が痛む。

ヨシヤに声が届かないことなんて、分かりきってるのに。私のために…ヨシヤは消えたのに。



「………お願いっ…。開けてよぉ……!」


目の前がぼんやりする。
言わずもがな、私の目に涙が滲んできたためだ。


―――…泣いちゃダメ。6年生なんだから…。


子供ならわんわん泣いて、誰かに縋ってもいいのかもしれない。

でも、今の私はダメだ。
ヨシヤや稔兄ちゃんを助けるんだ。その私が、赤ちゃんみたいにビービー泣くなんて、ダメ。


「……泣かない。ヨシヤ助けるまで、私、絶対泣かない!」



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