あの頃、テレフォンボックスで
実際、なんの心の準備もしないままに

私は花嫁になったのだ。

つわりが治まった頃、
秋のはじめに・・・・


まじめに通った学生生活のおかげで
卒業論文を残すのみだったけれど
ひとり娘の体を労わる両親と
兄キのような存在の夫の管理下で

アルバイトも旅行もゆるされず、
ただ、残りの日々を
ぼんやりと過ごしてしまった・・・・






「ママ、ママったら~~」

「あ、未来ちゃん」

「もう~聞いてたの?
今からレンタルショップに行って
ケイタさんちに集まるから。」

「今からって・・・・・

もうこんな時間だけど?

晩ご飯は?

ケイタさんのおうちも迷惑でしょう?」


「ご飯はみんなで食べるから大丈夫!
ケイタさんちは、みんな帰ってくるの遅いし。」


・・・・・待って・・・・・・

みんなすばやく出て行ってしまった。





また、今夜もひとり。




< 10 / 201 >

この作品をシェア

pagetop