雪が降る町~追憶のletter~
「貸して」

快斗が急に手を差し出してきた。
大きなごつごつした手。

「え?!な、なに?」

すっかり勘違いしていた晶はてっきり手を出せって言ってるのかと思ったが、欲しかったのは携帯だったみたいだ。


「今は赤外線とかってあってマジ便利だな」


そんなこと言ってる間に晶の携帯にも快斗の携帯番号が登録されていた。


「ま、こんなもんなくってもまた隣なんだから会えるんだけどよ」


(あ。笑った。
笑った顔はやっぱり昔の面影が残ってる。)

見上げる位身長差はついたけど、その笑顔に晶は少し昔の快斗を感じてほっとした。


「晶は?今、何してんだっけ?」
「私はフツーにOLやってるよ」
「はー!晶がねぇ」
「なによ!」


澄み切った冷たい空気の中を2人で歩きながら、晶は家に着く頃には25歳の快斗を自然に受け入れることが出来ていた。


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